一週間前の記事では、

プロの為替ディーラーでも、個人投資家でも
自分のおかれたディーリング環境が、
成績に影響を与える事はほとんどなく、
勝率自体は、プロがとりわけ優秀という訳ではないということ。

どんなに最新のニュースをかき集めても、
どんなに高性能なスーパーコンピュータで相場を分析しても、
プロのディーラーの勝率は5割前後ということ。

しかも毎年確実に収益を上げ続けられる為替ディーラーは、
一部のディーラーだけということ。

 

上記のような事をお話しました。
今回はその続きです。

 

プロの為替ディーラーの勝率でも5割前後なら、
私たちとそんなに変わりませんよね。

 

では私たち個人投資家と何が違うんでしょうか?

 

プロのディーラーというのは、一般の個人投資家よりも
良い成績を残している事は確かです。

 

金融機関のマーケット部門に属し、
会社の利益に繋がるように自己売買を繰り返しています。

 

プロプライアトリーディーラーという職業が
今でも存在している事自体、部署全体としては、
利益を上げているともいえます。

 

そうしたプロのディーラーと私たち個人投資家の一番の違いは、
損切りを徹底している事です。

 

私のブログを見ている方は、お分かりになっていると思いますが、
勝率を上げるように努力する事は必要ですが、
勝率自体は重要でないと書いています。

 

それよりも、リスクリワードレシオを上げる事の方が重要であり、
つまり、損をいかに小さく、利をいかに大きくするのか、
いわゆる、損小利大を実現させる事の方がはるかに大切です。

 

プロのディーラーというのは、
勝率よりもリスクリワードレシオを上げる事の方が
重要ということを当然理解しています。

 

ですので、プロのディーラーは、私たちと違い、
何も迷うことなく損切りできます。

 

そして、なぜそんなに簡単に損切りできる精神構造なのかというと、
他人のお金だからです。

 

身銭を切って運用しているわけではありません。
自分のお金でないので、いとも簡単に損切りします。

 

逆に言うと、損切りしないと、会社からペナルティーが与えられ、
それにより成績が悪くなってしまうと、当然クビになってしまいます。

 

他人のお金ですら損切りを躊躇してしまっては、
ディーラー失格ということですね。

 

会社としても、損失が拡大しているポジションは
いち早く手仕舞って欲しいですし、
損失を出しているディーラーをクビにすること自体が、
会社にとっての損切り行為となっているんですね。

 

では、損切りだけが私たち個人投資家とプロのディーラーの違いかというと
そういう訳でもないです。

 

もう1つ、利大を追求することも徹底しています。

 

例えば、EURUSDをショートしたとしましょう。
しかし、上昇してしまったので、あっさり損切りします。

その後、再度EURUSDが下げてきたので、またショートします。
しかし、また上昇に転じたので、あっさり損切りします。

3度目、また下げてきたのでショートします。
しかし、またしてもダマシにあい、あっさり損切りします。

4度目、またまた下げてきたのでショートします。
今度は、ようやく思惑通りに下げてきました。

そこで利確、、、とやってしまっては、損切り貧乏の出来上がりです。

思惑通りに下げてきた所で、ショート売り増し追加です。

その後、下げの勢いがついてきたら、更にショート売り増し追加です。

ある程度下がって後、下げの勢いが止まってきました。
そうしたら、半分だけ利確します。

持合が続いた後、再度その持合を割れてきたら、
再びショート売り増しです。

 

こうして、トレンドが続く限り、徹底的に利大を目指します。

 

例え、損切りが続いたとしても、その後の一回のトレンドで
それまでの損切り額の何倍もの利益を叩き出す、
それが勝ち組為替ディーラーの戦略です。

 

上記の例では、1勝3敗で利益になることの例ですが、
通常の一般投資家だったら、3連敗した時点で
自分の手法に疑問を持ってしまいます。

 

4回目のエントリー時には、疑問を持ちながらのエントリー、
もしくはエントリー自体を控えてしまうかもしれません。

 

そうすると、せっかくのトレンドを逃がしてしまう事も有り得ます。

 

プロの為替ディーラーは、自分の間合いに入ったら
躊躇なくエントリーします。

 

今回はうまくいくだろう、もしかしたらうまくいかないかも、
という余計なことは考えません。

 

ただ損小利大に従って行動しているだけです。

 

こうして考えてみると、勝率というものを追求することは、
それほど重要でない事が分かると思います。

 

それよりも、エントリー後にチャートの流れに沿った適切な戦略を
とることができるのか、という方がよっぽど大事です。

 

普通、FXの手法というと、どこでエントリーすれば高確率で勝てるのか、
とばかり考えていますが、考え方を変えてみるのも1つの手です。

 

手法というのは、相場に入る為のキッカケづくりに過ぎない。
重要なのは、相場に入ってからの、損小利大を実現できる戦略を
持っているかどうか。

 

このように考えると、チャートも違って見えるかもしれませんよ。