1週間前の記事では、プロの為替ディーラーを相手に
個人投資家が勝てるのか?という問題提起をしました。
常に為替取引の最前線におり、
実需の輸出オーダー、輸入オーダーなど需給状況を知る事ができ、
最新のニュースをどこよりも早く入手でき、
そして、最新のシステムが整ったディーリングルームで
取引しています。
最新の金融工学から古典的な手法まで、
さまざまな手法をスーパーコンピューターを使って瞬時に解析し、
今一番儲かる手法を常に探しています。
そうしたプロ中のプロ相手に、
私たち個人投資家が本当に勝つことができるのでしょうか?
前回の記事では、為替ディーラーのメリットを挙げましたが、
逆にデメリットもあります。
それは、
・決められた期間内に収益目標を達成しなければならない。
・相場を休む事ができない(常にポジションを持っていなければならない)。
・周りの為替ディーラーとの情報交換により、
周囲と同じようなポジションになってしまう。
などです。
特に、決められた期間内に収益目標を達成しなければならない、
というのは、相当なプレッシャーでしょう。
収益を上げられないとなれば、
会社にとって必要な人材ではないので、
雇われディーラーなら、当然クビになってしまいます。
利益が出るかどうかは、相場の動き次第という一面もありますので、
このような自分の都合で、相場を見てしまっては、
利益を上げる事自体、難しくなる事は想像できると思います。
そして、為替ディーラーというのは、
常にロングでもショートでも、ポジションを持たなければいけないらしいです。
ポジションを持つ事が、為替ディーラーの仕事とも言われているようで、
ポジションを持っていないスクエアの状態で、ただチャートを見ているだけだと、
上司から「サボっている」とみなされてしまうそうです。
ですので、常にポジションを持っています。
「FXは待つことが仕事」とも言われていて、
私たちが普通に考えると、エントリータイミングを充分に吟味して、
サインを取捨選択して、勝てそうな場面のみエントリーすべき、
と思ってしまいますが、プロの為替ディーラーは違うんですね。
でも、常にポジションを持つ事には、
上司にサボっていると思われたくなくて、仕方なく持っているだけ、
という訳でもなくて、別の重要な意味もあります。
それは、
「ポジションを持った状態でチャートを見る」のと、
「ポジションを持っていない状態でチャートを見る」のとでは、
緊張感が全く違ってくる、集中力が全く違ってくる、という面もあります。
スクエアの状態で、気ままにチャートを見ているだけでは、
いつまでたってもFXは上達しない。
それよりも、無理にでもポジションを持たせ、
強制的に緊張感を持たせる事で、
チャートを真剣に見る時間が増え、
その結果、相場観が養われ、上達のスピードが速くなる、
という考えによるものだそうです。
また、周りの為替ディーラーと同じようなポジションになってしまうというのも、
ある意味でデメリットともいえますね。
常に最新の情報を得て、周りのディーラーと意見交換もするでしょう。
そうした中では、話の内容により、周りのディーラーが
どのようなポジションを持っているか何となく分かってしまうものです。
そうなると、自分だけ反対のポジションを持つ事は勇気がいるものです。
もしかしたら、自分だけ損失を出してしまう事になるかも、と思うと、
例え、自分の相場観と異なっていても、
周囲のポジションに合わせてしまいがちになります。
勝つときはみんなで勝って、
負けるときはみんなで負ける、という意識になりがちです。
以上のように、プロの為替ディーラーには、
私たち個人投資家にはないような、別の意味でのデメリットもあるんですね。
では、そうした為替ディーラーのFXの勝率はどのくらいなんでしょうか?
私の伝え聞いたところによると、
最新の情報をいち早く入手し、
あらゆる手法を知り尽くしたプロのディーラーでも
実は、勝率は5割前後と言われているそうです。
しかも毎年確実に収益を上げ続けられる為替ディーラーは、
ほんの一部のディーラーだけです。
たまに、経済ニュース番組や経済専門誌などで、
元為替ディーラーという方が出ていたりしますが、
そういう人たちでも、実際にディーラー時代に収益を上げ続けた人は
ほとんどいないそうです。
もちろん中には、本当に収益を出し続けた人もいるでしょうが、
クビになったり、体力的に続かなくなって辞めたりした人がほとんどらしいです。
つまり、プロの為替ディーラーでも、個人投資家でも
自分のおかれたディーリング環境が、成績に影響を与える事はほとんどなく、
勝率自体は、プロがとりわけ優秀という訳ではないということです。
どんなに最新のニュースをかき集めても、
どんなに高性能なスーパーコンピュータで分析しても、
勝率は5割前後なんです。
こう聞くとちょっと安心しませんか?
ちょっと長くなってしまいそうなので、
続きは、また気が向いたときに。。。