先週の相場ですが…ようやく為替介入しましたね。
私としてはポジションを持った時に介入されては困るので、
ドル円、クロス円に関してはずっと待ちの状態でしたが、
これでようやく次の段階に進んでくれました。
財務省がどの価格帯を意識しているのか分かりませんが、
今回は160円到達を目安にしたようです。
下にチャートを載せていますが、
NY時間での月曜日と水曜日の2回にわたって介入が実施されたようで、
どちらの下落幅も5円程度、介入規模は1回目は5.5兆円、2回目は3.5兆円と推測されています。
問題は、これで当面の為替介入が終わりなのかどうかですが…
まず、円買い介入は外貨準備を充てるわけですが、
日本の外貨準備の総額は約200兆円で、
そのうち、約150兆円は外貨証券(≒米国債)であり、米国との関係性上、
そう易々とは売れない、現金化できないものです。
外貨準備の中で、誰の了承もなく即時使えるのは外貨預金で
約25兆円ほどといわれています。
そして今回の介入では、5.5兆円+3.5兆円=約9.0兆円を既に使ったことで、
残りは約16兆円程度となる計算です。
もちろん、外貨預金を全て使い切るわけにもいかないので、
次に介入するとなると今回よりもさらに慎重に行う必要があるわけです。
要するに徐々に追い込まれている状況、
手詰まり感が増している状況になっています。
中には、「いざとなれば、米国債を売ってでも介入すれば」という話もありますが、
米国債を売れば、当然利回りが上昇し、米国の経済に悪影響を与える可能性が出てくるので、
米国の理解が得られるかどうかという問題があります。
更には、米国債の利回りが上昇すれば、その分、日米金利差が広がることになるので
かえってドル高円安が進行しやすくなるという問題もあります。
イエレン財務長官も
「市場介入は極めてまれで例外的な状況でのみ」
と発言していましたね。
いくら神田財務官が「介入の原資は無限にある」と発言をしても、
それが嘘だという事は日本の外貨準備を見れば分かります。
日本としてはもはやどうすることもできず、米国の経済状況頼み。
そして運良く、週末の米雇用統計では市場予想を下回ったため、
ドル売り反応となりドル円も下げましたが、これがどのくらいの継続性を持つ材料なのか…
ということで、
先週分のUSDJPYの1時間足チャートを振り返っておきます。
(チャート内に、青色四角枠と赤色四角枠を記述していますが、
青色四角枠はマイルールにおけるロング指向の領域、
赤色四角枠はマイルールにおけるショート指向の領域を表しています)
見ての通り、2回の為替介入時に暴落している様子が分かりますが、
こうなってしまうとテクニカルで判断できるものではありません。
チャート自体が汚いですね。
こういう時に「遅行スパンが陽転したから」とか、
「青色スパンに変わったから」と理屈をこねても無意味です。
テクニカルが効きにくい状況なのは明白なので、
トレーダーとしては様子見するしかありません。
エントリーするなら、テクニカルではなく”その場のモメンタムに基づいて”となります。
私はモメンタムトレーダーではないので、先週のドル円ではノートレでした。
サブウィンドウの通貨の力関係を確認すると、
1回目の為替介入時にはそれほどJPY買いになっていませんね。
これに関しては、その前の状況が異常なほどのJPY売りであったために、
そこからの反転上昇でようやくJPYの強弱が中立に戻ったという感じです。
週末の米雇用統計では多少USD売りに傾きましたが徐々に戻しています。
さて、月曜からの相場ですが、
特に大きな経済指標はないみたいですね。
流石に為替介入は行わないと思いますが、
2回の介入を受けて市場参加者の意識がどのように変化したか、
そして、弱い米雇用統計を受けてドル安が継続するのかどうかに注目です。
現状、米では年内2回の利下げを織り込んだと言われていますが、
織り込んだのならドル安の流れに継続性は無い?
とも受け取れますが果たして…
そして、2回の介入でドル円に関しては
ロング勢もショート勢も立ち往生している可能性もあり、
当面は高ボラティリティーのボックス相場になるかもしれません。
私としてはチャートが落ち着くまでは
ドル円でのトレードは様子見にしたいですね。