先週は週末の米雇用統計が決定打になりましたね。
まずその前の話題として、米連邦控訴裁判所がトランプ大統領の一連の報復関税措置を違法とする判決を下しましたが、これってどのくらいの強制力があるんでしょう?
判決ではこれまでの相互関税だけではなく、中国やカナダ、メキシコに対する狙い撃ちのような関税も全て無効としているようですが、当然トランプ大統領は判決を不服として、上訴する意向を示しています。
ということは、連邦最高裁判所で審議される?ということは、そこで判決が出るまでは関税措置は継続?仮に、連邦最高裁判所で違法との判決が出たら、これまでの全ての関税措置は無効?全てキャンセルで元に戻る?その辺りのシナリオが良く分かりませんが、市場はドル買いで反応してるようです。
そして、メインイベントだった週末の米雇用統計ですが、市場予想の7.5万人増に対して実際は+2.2万人増となり、ネガティブサプライズ的な弱さ。改めて労働市場の冷え込みを示す内容となったためドルは急落、ドル円では一気に150PIPS程度下落しています。
この結果を受けて今月の利下げはほぼ100%確実視、というか、今月の利下げは0.25%ではなく、0.5%ポイントの大幅利下げになるのではないか、という思惑も出てきています。そして、年内3回の利下げがコンセンサスに。
FRBの使命は「雇用の最大化」と「物価の安定」。明確に雇用が弱くなっている以上、利下げは仕方ないですが、水面下でトランプ関税による物価上昇がすぐそこまで迫っている危険性もあります。
仮に、利下げをした途端に物価上昇を示唆する経済指標が出たらどうするんでしょうか?パウエルFRB議長の難しいかじ取りが続きそうです。
ということで、
先週分のUSDJPYの1時間足チャートを振り返っておきます。
(チャート内に、青色四角枠と赤色四角枠を記述していますが、
青色四角枠はマイルールにおけるロング指向の領域、
赤色四角枠はマイルールにおけるショート指向の領域を表しています)
週前半は上昇トレンドでしたが、週中あたりから弱含み、週後半の米雇用統計で急落という流れです。全体の値幅は250PIPS程度でドル円としては平均的。
トレーディングとしては難しかった部類か。週前半は遅行スパンが陽転し青色ゾーンの場面が多かったのでロング指向で臨みます。
しかし、週中に遅行スパンが陰転してからは分かりにくい展開でしたね。金曜日に関しては米雇用統計が控えているので基本的にノートレです。
サブウィンドウの通貨の力関係を確認すると、週を通して明確な方向性はありませんでした。
前半の上昇トレンドはUSD買いメインによるものだと分かります。そして米雇用統計ではUSD売りになっている様子も分かります。
一応、全般的に薄~くEUR買いであったので、ユーロクロスをロングで狙う戦略でも良かったでしょう。
さて、月曜からの相場ですが、米消費者物価指数(CPI)が控えています。そして、最近少しずつメジャーになりつつある?米生産者物価指数(PPI)もあります。順番としては10日にPPI、11日にCPIです。どちらも物価に関する指数なので大注目。
既にFRBは”雇用の安定化”に全振りモードになっていると思われますが、ここで仮にCPIが上昇してしまうと…ちょっとヤバい雰囲気が…
トランプ関税の影響がいつになったら出るのか、そしてどのくらい物価を上昇させるのか、現時点で不明なのが不気味。
最悪なのは、FRBが利下げを決行したタイミングでトランプ関税の影響が表面化して物価が急騰すること。
そうなってしまうと、明確なスタグフレーション。景気後退とインフレの両挟みで動けなくなることも。
トレーダーとしては、色んなファンダは考慮しつつも、とりあえずは先の米雇用統計を受けたドル安の流れをメインに考えます。